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日時:2008年08月31日(日)13:00 キックオフ 会場:五福公園陸上競技場

 

日時:2008年08月31日(日)13:00 キックオフ 会場:五福公園陸上競技場

カターレ富山

チーム

富山大学

4

2 前半 0
2 後半 0

0


10分 中田 洋平

25分 石田 英之

58分 朝日 大輔

63分 長谷川 満

得点




カテゴリ

富山県サッカー選手権大会

決勝

日時

2008年08月31日(日)13:00キックオフ

会場

五福公園陸上競技場

入場者数

- 人

天候

晴れ


2009年からのJ2参入を目指すカターレ富山は、8月17日JFL第25節ジェフリザーブズ戦、ホーム五福で敗れた。
4位争いが激化する後半戦の山場で2連敗を喫し、さらに次節から強豪との3連戦を控えている。
我々が初めて味わう昇格が懸かった今季のリーグ戦は、本当に先が見えなくなってきた。

選手一人一人のパフォーマンスやそのゲーム内容、善戦したとか、最後まで諦めなかったとか、そんな事をいくら語り合おうと、たったひとつの黒星が直接我々の飛躍を妨げる足かせになる。
これはどう足掻いても目を背ける事のできない事実である。

Jリーグへの参加資格としての、財政基盤、ホームスタジアム、そして観客動員というノルマを既に達成した。
残るは、全34試合のリーグ戦で4位以内という条件のみである。

リーグ戦の残り9試合は、Jリーグへの「挑戦」ではなく、「条件」である。
そして、この日行われた富山県代表決定戦は、Jリーグへの「条件」ではなく、「挑戦」のスタートラインなのである。


2週間ぶりの五福は、2週間前よりも蒸し暑かった。
もうひとつのカターレ富山の冒険が始まろうとしていた。

第13回富山県サッカー選手権大会決勝、富山大学戦。



前半開始。

序盤から、試合はカターレがペースを握る。
準決勝で雷鳥クラブに90分間主導権を握った富大イレブンも、カターレのボールを奪う事さえできない。

富大は準決勝でそれぞれゴールを挙げた2トップの山根、宮口を前線に残し、中盤以下を完全に自陣に収納した極めてディフェンシブな布陣を敷く。
奪ったボールを少ないパス、若しくはパワープレイで長身FW宮口に当て、ストライカータイプの山根でゴールを狙う以外に、富大のプランはなかった様に思う。それは必ずしも富大のサッカースタイルでは無かったかもしれないが、それでも個々の実力差はやはり明らかであるし、カマセ犬になるつもりはないという富大チームの強い意志が表れた、正真正銘勝つ為に選択した戦術に違いなかった。

では、そんな完全に引いた相手に対して、カターレは無数にある攻撃の選択肢から、どの時間帯で、どれを選び、どこでリスクを冒し、どの様に崩し、点を奪うのか。開始序盤からダラダラと時計を進める様な事があっては、足下をすくわれる可能性は充分にあった。

限りなくディフェンシブに近い相手ゴールをこじ開けるには、それ相応の人数や運動量を費す必要があるし、特に中盤はリスキーな選択が必要となってくる。
波状攻撃を凌がれ、ルーズボールを拾われ、少ないパスでカウンター、といった出所の読みづらい対応は、確実にMF渡辺、MF景山の両ボランチの体力を奪うはずであり、それこそが富大の狙いであるはずだからだ。

そしてそんなプロセス云々の前に、リーグ戦における最も厳しい正念場を目前に、あくびの出る様な試合を見せようものなら、カターレ富山という希望の船は、サポーターのテンションと共に一気に墜落する事だろう。

私はそんな事を考えながら、戦況を見守る事にした。

前半12分、カターレが中央付近でFKを得る。
キッカーはMF上園。かと思いきや、意表をついてDF中田が蹴り、シュートは直接ゴールネットを揺らした。
先制点はセットプレイから。

14分、FW長谷川が左に開いてセンタリング。飛び込んだFW石田には合わなかった。

15分、FW石田の振り向きざまシュートはミートせず。

16分、左からのFKを得たカターレ。放り込まれたボールに合わせたDF濱野のヘディングシュートはゴール右に外れた。

18分、MF朝日が後方からのパスをスルー。しかしこのプレイはDF西野に合わず、富大のカウンターを浴びる。
右からのクロスに詰められるが、ディフェンス陣がクリアした。

21分、カターレが左からのCK。ボールが流れFW石田の元へ転がる。完全に振られていた富大ディフェンス陣が反応する間もなく、GKと1対1になったFW石田が蹴り込み2点目を挙げた。

26分、右サイドからカターレのスローイン。ペナルティエリアまで転がったボール、混戦からボレーを放つがこれは富大GK正面。

この辺りから富大のプレスが遅れ始める。それは猛暑に加え強制的に増やされた運動量による疲労からか、それとも追いかけた挙げ句あっさりと振り切られる消耗を無意識にイメージし足を鈍らせるからなのか。おそらく、そのどちらでもあった。

一方、カターレは中盤以下で転がしながら機を見て前線に当て、ドリブルや細かいパスで突っかけた際に受けるファウルから、サイドへのクリアから、ゴールラインへのクリアから、FK、CKを量産。無限連鎖の様にチャンスを作って行く。

30分、カターレの波状攻撃。富大GKが好セーブを見せる。

32分、右サイドを突破するワンツーからセンタリング、MF朝日のボレーは左ポストを叩いた。

36分、MF上園のミドルはゴール上に外れた。

37分、右サイドで粘ったFW石田のシュートは富大GK正面。

39分、MF渡辺の強烈なミドルは不発。

40分、左サイドでDF中田からMF上園へ。上園のアーリークロスは中央で張っていたFW長谷川には合わず。

42分、MF上園が魅せる。ドリブルで中央エリア5人程が密集するエリアを個人技で突破。
シュートは富大DFがクリア。続く左CKもクリアされる。

結局、カターレが2点リードで前半を折り返す。

前半の終盤辺りから、カターレの猛威を凌ぐ事に比重を置き過ぎた富大イレブン。
そうせざるを得ない程、圧倒的な攻撃を受けて続けていたのも事実であるが、マイボールになったとき、少なくとももう一人ぐらいは前線に飛び出す選手が必要だったように思う。
カターレの選手に混じっても、文字どおり頭ひとつ抜けている長身FW宮口。カターレの攻撃を凌いでマイボールを得たとき、彼だけが相手陣内、それもサイドでボールを受けようとしている状況では、得点どころか攻めのカタチすら作る事ができない。
FW宮口が最もそのポテンシャルを発揮するのは、ペナルティエリア付近中央の位置以外に考えられないからだ。
一か八かのようなロングフィードをなんとか彼に当てたとしても、落とす相手がいない。それでも彼一人の力で打破しようとするのなら、カターレの屈強なDFをまとめて2、3人を相手にしなければならないのである。これはさすがに荷が重すぎる。
しかし、この状況を改善する以外、2点リードされた富大に勝利は生まれないのである。


後半キックオフ。

5分、FW長谷川のスローインから、FW石田のクロス。FW二人によって生み出されたチャンスボールであったが、ここに飛び込む中盤の選手はいなかった。
であるならば、最初からクロスボールに対して最も強いと思われるFW長谷川になぜスローインをさせたのだろうか。
少し疑問の残るプレイであった。そしてこんなプレイをリーグ戦では決して露呈させないことが重要である。

6分、FW石田の飛び出し、これは富大DFがクリアする。

7分、富大が右45度の位置からFKのチャンスを得る。放り込まれたボールから混戦に。浮き球からのヘディングシュートはGK中川が正面でキャッチ。

8分、右からDF西野のクロスは合わない。

13分、前線で張ったFW石田が珍しくポストプレイ、落とした所からボールがこぼれるも、詰めていたMF朝日がミドルを豪快に決め、カターレはリードを3点に広げる。

15分、富大が決定的なシーンを作る。
富大園部がミドルシュートを放ったが、ゴール右に惜しくも外れた。

16分、高温のピッチでかなりの運動量を強いられたであろうMF景山に代わって、MF長山を投入。

17分、DF西野の強烈なミドル。これはゴール右に僅かに外れた。

18分、カターレが左からのCKを得る。混戦からのこぼれ球に、FW長谷川が豪快にけり込み更に追加点。
約30分を残して、試合を決定付ける4点目が入った。

富大はもしかすると、もう少し早く、リスクを負ってでも一矢報いる動きを始めなければならなかった。
リスキーな選択からの連続失点であれば、それは想定内であり、「攻めた」という事実は残る。
たとえゴールできなくとも、攻めのカタチを作るという事は、相手が強大であればある程、「攻める事ができた」という自信に繋がるのだ。
その自信は、猛暑に打ちのめされた若いイレブンを、どれだけ蘇らせられただろう。
そう思うと余計に、限りなくディフェンシブに絞っての4失点は、若いイレブンには重すぎたのかもしれない。

21分、富大FW宮口が奮起、右サイドを突破するがフォローが無い。カターレDF濱野らが口火を摘む。

24分、カターレが右CKのチャンスを得る。放り込まれたボールをクリアしたのは、またしても富大FW宮口。自陣ペナルティエリアまで下がっていた。
富大FW宮口は、ボールのある所に顔を出していた。いや、少なくとも、自分の所にパスを呼べる位置まで下がり、動き、どうにか攻撃のカタチを作ろうと試行錯誤を繰り返した。

富大FW宮口は、チーム唯一の4年生。おそらく最も経験が豊富で、絶対的な存在感を放つ。
今年で部を去る彼が、後輩達に見せようとしていた事。観ている我々にも伝わるプレイだった。

25分、きっちり結果を残したFW長谷川が、お役目御免で下がり、MF姜を投入。
FW石田のワントップかとも思われたが、FWの位置にそのまま入った。
FW石田とMF姜の珍しい2トップである。

26分、FW宮口のプレイに奮起したか、富大が攻め上がる。左からのクロスだったが、これはGK中川の正面。

27分、そこから早い攻撃を見せるカターレ。DF中田の左クロスからFW石田には僅かに合わず。

30分、後半に下がったMF景山同様、ボランチの位置で消耗したMF渡辺に代わって、MF木本を投入。
MF木本をトップへ、MF姜を中盤へ下げるのかと思いきや、姜はそのままの位置に残り、MF長山のワンボランチへと移行した。

32分、富大が右サイドからロングスロー。混戦からのシュートは、無情にもゴール上に外れた。

35分、DF中田が左サイドを切り裂く。しかしクリアされ右CKへ。このCKは不発に終わる。

38分、FW石田のボレーはゴール左。

39分、MF朝日のドリブルキープからゴール前へ。富大GKと1vs1。決定的な場面だったが、コースを狙い過ぎたのか、GKが好セーブを見せた。

42分、富大が最後の意地を見せる。
中盤の選手も攻め上がり波状攻撃。カターレゴールを脅かすも、あと一歩詰め切れなかった。

結局ロスタイムも両者ゴールは生まれず、カターレが4-0で勝利した。


この勝利により、第88回天皇杯への出場権を獲得したカターレ富山。
次はいよいよ天皇杯本戦である。
全国地区大会を突破したチームと2戦した先には、Jチームとのノックアウト方式での真剣勝負が待っている。
リーグ戦は「条件」であり、天皇杯は「挑戦」であると、冒頭でも書いたように、ここから始まる戦いに一切の条件は無い。
ただ次の相手を倒すだけである。
それが地区優勝チームであろうが、J2チームであろうが、J1チームであろうが。
もちろん、アジアチャンピオンの浦和レッズであろうが、である。

この胸の高鳴りは、サッカー後進国と呼ばれた日本代表が、そしてそれを応援する我々日本人が、コンプレックスをモチベーションに再変換させた、あの時の記憶に近い物がある。

アマチュア最高峰JFLにおいて、強豪チームを2つも有していながら、スポーツニュースの中でしか観る事が出来なかったJリーグ。
そんな悔しさや歯痒さを、多くの県内サッカーファンが抱いていたコンプレックスを、唯一ぶつける事が許された大会が天皇杯なのである。

JFLに属するYKKAPとアローズ北陸によって、毎年行われていた天皇杯出場を掛けた富山ダービー。
2チームが合併し、カターレ富山となった事から、残念ながらあの名勝負はもう見る事ができない。

しかし、それは富山サッカーシーンの衰退などでは決してなく、カターレ富山と言う大きな希望が誕生したと同時に、それまで陽の芽を浴びる事さえなかった、県リーグのチーム、選手達を表舞台に持ち上げる事にも繋がった。
カターレ富山がJ参入を果たせば、県代表枠として更に1チームの天皇杯出場が可能になる。
学生時代に全国の土を踏んだ者でさえ、全ての者が実業団チーム等に在籍できる保証など当然あるはずなく、持て余したサッカー技術をただ消化するように、毎週の様にリーグ戦を行っていると聞く。そんな彼らに夢への架け橋が誕生するのである。

戦前から力の差は明らかだった今年の富山大学との一戦。それでも楚輪監督は、リーグ戦と変わらぬスタメンでこの勝負に挑んだ。
この布陣を選んだ事に、富大イレブンへの敬意を表してだとか、ファンサービスといった側面は無かったと思いたい。
真正面から勝ちにこだわり、本気でJチームを撃破するつもりで臨むならば、スーパーシードとして登場したこの県代表決定戦から、もうすでに我々の「挑戦」は始まっているからである。

試合後、カターレサポーターから発せられた、健闘を讃える富山大学コールに、富山サッカーシーンの未来が見えた。




(了)

 

みんなでスタジアムに行きましょう。みんなで応援しましょう。
会場へ向かうその一歩が選手達の力になり、
チームへの後押しになります。
その一歩が夢への大きな一歩なのです。

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