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前節アウェイ仙台の地で、ソニー仙台FC相手に2-0での敗戦を喫したカターレ富山。
当速報板での情報によると、前半はかなり押し気味に試合を展開し惜しいシーンも多かったという。
そして後半に入り失点。
指揮官はMF姜に代えてFW松下を投入。
FWを3枚に増やした。しかしゴールは割れない。
「何がなんでも得点を」という思いからか、この日の指揮官は驚くべき采配に打って出る。
MF朝日に代えFW永冨を投入した。
ベンチ内でどんな動きがあったのかは解らない、選手の身体に何かしらのトラブルが発生したのかも知れない。
が、このシフトチェンジは素人目にも明かに極端である。
試合を見たわけではないので、これは憶測の範囲を超えないが、おそらくトップ下もこなせるFW松下をMF朝日のポジションに下げたのであろう。
しかしながら「4トップ」なんて、昨今のシステマティックなサッカーでは余りお目にかかる事はない。
4人のうち何人が1.5列目や2列目と言われる位置まで下がってプレイしていたのかは解らない。
そして、見かけは4-4-2だったり、3-4-3若しくは3-5-2だったのかもしれない。
しかし、長くFWというポジションでプレイし続けてきた選手達にとって、最前列へ飛び出したり、前線で長時間プレイすることを自ら抑制するのはおそらく困難に違いなかった。
彼らはチームが劣勢に立たされている時こそ、得意なエリアでプレイしようとするはずである。
そんな、倒れそうな程前がかりになったカターレ富山は、一番キツイ時間帯で中盤の運動量が著しく激化し、さらにそのフォローからDFの負担が増大したのであろうか、主将DF濱野のレッドカードという犠牲を払い最大のピンチを脱した。かに思えた。
しかしそのセットプレイから失点。
結果論にすぎないが、同じ失点であればDF濱野の次節出場停止+数的不利というペナルティは必要なかった。
この敗戦は、サポーターの怒りを買うに充分過ぎた。
愛するチームではなく、勝利したソニー仙台FCに対するコール、イレブンの挨拶を待たずしてスタジアムから退席するという、渾身の非肉でこれを表現して見せた。
ネット上では、次節流経大戦で勝てなければ、応援を辞めるという情報まで飛び交った。
スタジアムを囲む五福公園の並木道に、五月の爽やかな風が吹き抜けていた。
サポーター、そしてチームの動向から目が離せない中、今季初の五福での試合が始まった。
第11節、流通経済大学戦。
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キックオフと同時に会場を包んでいた大きな雲が晴れ、緑色のピッチが眩しく照らされた。
0分、気分一新に坊主頭に丸めたFW石田が飛び出し、いきなりチャンスを作る。
ゴールこそならなかったものの、前節からこの日までに溜まった鬱憤と気合いを、吐き出す様な動きにゴールの期待は高まった。
そんな富山の勢いはチャンスを連発する。
3分、左サイドからFKのチャンス。
クリアされるものの、さらに攻撃に移る。
左サイドからMF上園のクロス、クリアされるが続けてCKのチャンス。惜しくもこれもクリアされた。
6分、球際がルーズになってしまい、流経大ワンツーから、FWのポストプレイ。
これを阻止するべくディフェンスにまわった今季初出場のMF野嶋がイエローをもらい、ゴール前でのFK。
シュートはゴール左に外れた。
10分、波状攻撃からMF渡辺がミドル。流経大GKがこれを弾き、続く右からのCKはクリアされた。
12分、右サイドから流経大のクロスはDFがクリア。
15分、FW石田が遂に、念願のホームでの今季初ゴールをあげる。
MF上園のパスに走り込んだFW石田がGKと1vs1、豪快に決めた。
バックスタンド前を駆け抜け、両拳を握り締めながら、雄叫び、そして空中を殴る如く軌道で右腕を振った。
イレブンが駆け寄り、抱き合った。
ようやく飛び出したホームでのエースの得点に、富山は俄然勢いづいた。
17分、MF野嶋が中盤の底から前線のMF朝日へ、グラウンダーの速いパス。
これを受けた朝日がシュート。惜しくも流経大GK正面。
この日は全体的に声が良く出ており、特にDF西野の声は良く聞こえた。
19分、流経大がゴール前でのFK。
直接決められ同点に追い付かれた。
いつもなら、失点による悲壮感が会場を包んでしまうが、この日は違っていた。
前へ前へという一体感が、イレブンのプレイや会場からの声援で感じ取れた。
失点から僅か1分後、前半20分、左からのFKを得た富山。
早いリスタートで、MF野嶋からDF金が押し込み追加点。
DF金にとっても今季初ゴールとなった。
25分、MF上園のシュートはクリアされるも、続く左CKのチャンス。
先程得点したDF金のシュートは惜しくもゴール右に外れた。
27分、左からCKは不発に終わる。
28分、MF上園のミドルシュートは流経大GK正面。
両者中盤で激しい奪い合い。
30分、富山のカウンター。少ないパスで繋ぎ、MF朝日からFW石田へ。
ゴールを僅かに左をかすめた。
31分、流経大のシュートはゴール左に外れた。
33分、富山の右からのCKは流経大GKがクリア。
この辺りから、流経大の中盤でのプレスが甘くなってくる。
35分、FW石田のチェイシングから、こぼれたボールをDF中田がカット。
FW長谷川に繋ぎ、左からのクロスにMF上園が合わせるが惜しくもゴールならず。
37分、中盤でのルーズな守備からピンチを迎える。
がらんと空いたスペースを突かれた富山は、DF堤がファウルでこれを阻止。
右サイド、かなりゴールから近い位置からのFKはディフェンス陣が防いだ。
38分、左サイドからの流経大のミドルはDF金がクリア。
40分、流経大が左サイドからセンタリング、頭で合わせられるがゴール上へ外れた。
44分、左からのCKのピンチもディフェンス陣がクリアした。
前半ロスタイム、流経大が富山ゴール前、失点時とほぼ同じ位置からのFKを得る。
これをGK中川がセーブした。
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前半をリードで折り返した富山。
2分、相手ペナルティエリア内へ切り込んでのMF朝日のシュートは流経大DFにクリアされる。
4分、流経大は左サイドを攻め上がる。
シュートまでもって行かれたが、これはゴールを大きく左に外れた。
5分、MF朝日のチェイシングから左CKを得る。会場から拍手。
FW長谷川が頭で押し込むが、惜しくもゴール上に外れた。
後半序盤から、富山デフェンス陣はお互いに大きな声を出し、集中できていた。
主将DF濱野不在の中で、DFの金と堤は逐一コミニュケーションを取り合っていた。
10分、FW長谷川からFW石田へ、またしてもGKと1vs1の場面を作るも、GKにセーブされる。
12分、この日サイドでのプレイも可換にこなしていたFW長谷川のキープからMF朝日へ。
クロスに走り込むものがおらず不発に終わった。
13分、流経大のミドルは大きく外れた。
14分、MF朝日のシュートはミートせず、力なく流経大GKの正面。
リードする富山は、前線の選手4、5人が絡む中央突破で攻め上がる。
17分、FW長谷川のポストプレイからDF西野へ、右からのクロスにMF朝日が頭で押し込み3点目。
20分、終始ピッチを走り回っていた、この日1ゴールのFW石田に代わってFW松下を投入。
会場からFW石田に拍手が贈られた。
23分、相手ペナルティエリア内でMF朝日が倒されるがノーファウルの判定。
25分、左サイドでのFKのチャンスにDF金が合わせるが、流経大GKに阻まれる。
28分、中央と遠めの位置からの富山のFK。FW長谷川がポストプレイに入るが、流経大に跳ね返される。
このこぼれ球にMF渡辺が直接ミドルで合わせるが流経大GKにセーブされた。
流経大は後半に入りロングフィードを多用、一方富山は両サイドバックのDF西野とDF中田が攻守に渡る活き活きとしたプレイが光った。
30分、流経大が右サイドからクロスを放り込むが、これはクリア。
33分、DF西野の右からのクロスは流経大がクリア。続く左CKもクリアされた。
35分、FW長谷川に代えて、FW永冨を投入。
37分、代わったばかりのFW永冨がミドルを放つが、惜しくも流経大GKの正面。
38分、この日最も運動量が多かったであろうMF朝日に代わって、久々の登場であるMF川崎を投入。
同38分、ゴール正面の位置からFKのチャンス。
左からのセンタリングはGK正面。
39分、流経大が右からのFKを得る。
一度は食い止めるも、混戦から決められ1点差へと迫られた。
42分、流経大FWのポストプレイから振り向いてのミドルは大きく外れた。
45分、ペナルティエリアに責め込めれた富山だったが、シュートは上に外れた。
試合終了のホイッスル。
かくして我らがカターレ富山は、ハードな試合展開を見事勝ちきってみせた。
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試合終了後、イレブンが挨拶にやってきた。
サポーターが陣取るゴール裏スタンドはお祭り騒ぎである。
試合前に不協和音が囁かれたイレブンとサポーターの隙間を埋めたのは、坊主頭で気合い溢れるプレイを見せたMF松下をはじめ、イレブンが失点しつつもしっかり内容と結果を示してくれたからに違いない。
しかし、この日の主役は、やはりこの男しかいないだろう。
元気印、お調子者、ムードメイカー、彼を言い表す言葉はたくさんある。
一方で、結果を出せない自分を強く責めるが故、涙を流す場面もあった。
無得点エースと揶揄され、苦しみ抜いたFW石田である。
そんな愛すべきヒデが頭を丸め、ファンの目の前で完璧なゴールを決めた。
石田とサポーターは暫く見つめ合っていた。
HELL VALLEYのコールリーダーと何か言葉を交わしている様だったが、特大ヒデコールで掻き消された。
すると石田はゆっくりとサポーターの方へ歩み寄り、コールリーダーとがっちりと握手を交わした後、サポーター集団の中へ吸収された。
けたたましくフラッシュがたかれ、激熱の包容から解放された石田の目には、ハッキリと光るものが確認できた。
少しばかり涙もろい我らがエースは、自身でも驚く程ファンから愛されていると実感したに違いない。
そして、この熱過ぎる一瞬が、更なる感動を呼ぶに違いないのである。
(了)
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